消防予第528号が発出された経緯
→ 平成30年6月に消防庁告示第12号及び消防予372号、373号が出され、同年8月に東京消防庁の予防課より「6月の法改正に則り、指導指摘
を始めたところ疑問点がたくさん出てきた」と質問が上がり、それに対して総務省消防庁予防課が「消防予第528号」という形で回答を
行いました。(平成30年8月24日通知)
ただ、内容が良く分からないといった方、拡大解釈されている方も少なくありませんので、分かり易く説明してみたいと思います。
Q1:消防予第372号においては、内部観察時にオイルや冷却水の「成分分析」とあるが、交換すれば「成分分析をやった代わり」と 認められるか? A1:交換が目的ではなく、内部の異常発見が目的なので認められない。 Q2:以前にオーバーホールをやった。内容的に内部観察と同等と認められる場合は内部観察をやったとみなして良いか? また、内部観察を実施と見なされるなら、翌年から予防的な保全策に入って良いか? A2:差し支えない(そう考えて良いよ) コレが重要! Q3:負荷運転の必要な時間とはどの程度か? 通常、30%以上の負荷を掛けるよう点検要領(消防予第214号24-3総合点検)には記載されているが、「設計上想定されている負担が 30%を下回る場合」は当該負荷相当の%で良いか? ※設計上想定されている負荷=出力計算書に記されている当該負荷設備のKW合計 A3:前半は消防法施工規則に則り行えば問題ない。 後半は差し支えない(そう考えて良いよ) 理由として、そもそもポンプ等が起動した際の起動電流を想定して、当該負荷設備のKW合計の約3倍の定格出力を設定している。 よって、当該負荷設備のKW合計を最大必要出力と考えて、設計上想定されている負荷を掛けてさえいれば問題ない。 この問3については、実負荷点検を実施する際、「設計上想定されている負荷が30%を下回る場合」の赤字部分を施設関係者、 消防点検業者さんによっては「“無条件で”30%を下回る負荷率でも負荷運転をやったことになる」と拡大解釈され、 「極論、10%を下回るような負荷率でも構わない」と間違った認知が広まっているのも事実です。 停電時、消防用設備等に限らず、自家発電機につながる個々の設備を違うタイミングで動かすことなんてないですよね。 実負荷試験を行う際、「当該負荷設備を個別にではなく、専門技術者の立会いのもと、全ての負荷設備を同時に必要な時間稼働させ 運転状況を確認(性能面、耐久面)、数値測定等をすること」が正しい点検方法と言えます。 |
消防用設備の必要運転時間例
非常電源を必要 とする消防用設備 | 非常電源専用 受電設備 | 自家発電 設備 | 蓄電池 設備 | 容量 | 根拠条文 |
屋内消火栓設備 | 〇(注) | 〇 | 〇 | 30分 | 消防法施工規則第12条第4号 |
スプリンクラー設備 | 〇(注) | 〇 | 〇 | 30分 | 消防法施工規則第14条第1項第6号の2 |
水噴霧消火設備 | 〇(注) | 〇 | 〇 | 30分 | 消防法施工規則第16条第3項第2号 |